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【特集】グレコでも世界への道が見えたか GR67kg級 成國大志 選手|明治杯2024

#明治杯2024特集
📸 @__kotograph__

フリースタイルとグレコローマンスタイルの両方で世界チャンピオンを目指している男がいる。2022年フリースタイル70kg級世界チャンピオン・成國大志 選手だ。

かつてフリーとグレコ両方で世界一に輝いた選手は海外に3人いるが、それぞれの技術が確立された近年において両スタイル制覇はゼロ。もし達成したならば世界視野で前人未到といえる。

「フリーに戻った方がいいんじゃないか」

転向して当初、周囲から幾度となくそんなことを言われたという。それでも、自分で決めた道をやり遂げたいと決意しその意思を曲げずに2年間グレコに専念してきた。自分の性格を一言で表すなら?という質問に対して「わがままです」と即答した。トレーニングメニューにおいても自己流を極めている。

そんな成國選手であるが、今回の明治杯2024を機に、「グレコっぽくなってきた」と自分が感じる以上に周囲から言われるようになったという。それもそのはず。

ハイライトとなったのは準決勝、今大会初優勝の矢部晴翔選手との一戦。敗れはしたもののスコア6-6の惜敗だった。1Rの終わりにタイムアウトでノーポイントとなったローリングが入っていれば勝敗が変わっていたかもしれない。世界の前の全日本制覇に大きく近づいた一戦といっても過言ではない。

集中を切らさず3位決定戦でも魅せてくれた。対戦相手の丸山千恵蔵 選手は63kg級で優勝経験のある第一線の選手。強豪なのは間違いないが、その相手に初回のグランドで豪快な5転技を決めて、続けざまにバック投げも決めてテクニカルスペリオリティー勝ち。文句なしの内容で表彰台を勝ち獲った。


グレコの練習は月に2〜3回ほど育英大学に出稽古に行き、松本隆太郎コーチに指導を仰いでいるという。五輪3位のグレコ技術がフリー世界一の身体に浸透してきている。ここからもう一段二段と強くなっていく未来が見える!

グレコで世界を獲るための展望として63kg級も視野に入っているらしい。盛り上がった筋肉からは想像し難いが見た目以上に減量は少ないらしく、話を聞けば確かに狙える範囲の階級である。今大会で魅せた実力がそのまま発揮されればグレコ世界一がグッと現実味を帯びてくる…(63か67か、どちらで勝負するかはまだ決めていないとのこと。)

また、チームとしてはキッズ時代を共に過ごした同級生・石黒峻士 選手が古巣のゴールドキッズに帰ってきて、初戦となる今大会で優勝を飾ってみせた。一緒に頑張る仲間の存在は想像以上の力を発揮するものである。「帰ってきてくれたことが素直にうれしいです」と成國選手は語ったが、前人未到への挑戦に、キッズ時代に切磋琢磨した石黒選手の存在が支えになることは間違いないだろう。

成國大志選手の両スタイル世界制覇の道はまだ始まったばかり。レスリング界きっての頑固者の覚悟を私は見届けたい!